
2024年7月26日鑑賞
実は4月、展覧会会期前に平日限定の前売券を買っていたのです。
そして、7月11日に人工股関節置換術を受けて…23日に退院したばかり。
その3日後、リハビリも兼ねて新幹線に乗って上野を目指しました。
当日、東京も梅雨はあけていて30℃超え。
大汗かきながら東京都美術館へ。
11時頃に会場に着いたのですが、さほどの混雑感はなく列に並ぶことなく入場できました。
会場に入って驚いたのは…過去イチ冷房が強くて非常に寒かったことです(作品保護のため空調強めというのはよくありますが)
また、デ・キリコについては著作権が生きているため、ネット上にパブリックドメインの画像がありません。
…なので、下に今回の展示の公式サイトと画像検索のリンクを置いておきますね。
Google画像検索「デ・キリコ」の結果
デ・キリコがどんな作家だったかは、山田五郎氏のYouTubeを見るとよく分かります。
「あの」山田五郎氏のYouTube番組①…期間限定公開
「あの」山田五郎氏のYouTube番組②…期間限定公開
実際今回の展示は、90歳くらいまで生きていたキリコの画業の初期から晩年までほぼまんべんなく網羅していました。
最初のセクションが極初期の肖像画で続いて1910年代に形而上絵画が成立するまでが見られます。
形而上絵画についてモチーフなどを展開させていったわけですが…早くも1920年代にベネツィア派のティツィアーノやバロックのルーベンスなどに触発された伝統回帰の作品を描いてみたり。
その後、形而上絵画のモチーフを再展開してみたりと、正直ぱっと作品を見ても制作時期がよく分からない作家だったりします。
それでもなお、デ・キリコの画業を通して感じるのは、普通に解釈できる意味づけとは異なる作風であるということです。
端的に言って「意味のよく分からない」作品群、絵画に「意味は必ずしも必要ないのではないか」ということで、絵画の「コンセプト」や「言語化」について正面から疑問を投げかけられたような気持になります。
別に言葉で説明する必要なんてないんじゃない?
画面を見ていて個人的に感じたことは…
〇黒の使い方が印象的
形而上絵画の黒い線も勿論ですが、初期肖像画での衣装の黒は古典絵画の色使いを想起します。
あと、後期作品での太陽や月の抜け殻を表現した黒など。
〇黒の輪郭線がスタイルになっていたのに、ルノワールの表現が良いと感じたらあっさり輪郭線を捨ててふわっとしたタッチに移ってしまう柔軟さ(また輪郭線の表現に戻りますが)
〇後期作品の燃え尽きた太陽の形を見た時、岡本太郎の絶筆を思い出しました。
〇彫刻作品を見て…形而上絵画のモチーフがこんなにきれいに立体化できるのか?!と軽い驚き。
以上、古典絵画→近代絵画→表現の多様化、抽象化…といった進化論的な美術史に必ずしも当てはまらないデ・キリコの自由な創作ぶりに感心した展示でした。
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