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2024年7月4日~30日の日程でささやかな個展を開催しました(本稿執筆時は開催中)
場所は新潟県南魚沼市のトミオカホワイト美術館。

勤務先が南魚沼市内ならば展示料は無料ということで、たしかまだスキー場が営業している頃に7月の日程で申し込んでいたと思います。

2023年は前立腺がん治療、2024年に入ってからは変形性股関節症を治療するため両側人工関節置換と、作品制作が思うように進まずもどかしいこの頃ですが…
2021年から地域の公募展に出品してきた作品(主だったもの)を並べて展示して見たい!と思い計画しました。

しか~し!
7月11日に人工股関節置換の手術を受ける日程でしたので、手術前週の4日に搬入、退院予定日の翌週30日に終了、搬出ということでヒヤヒヤではあります。

本記事は出品作全11点を記録しておきたいという意図で作成しております。

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ごあいさつ

「新潟」を描いた絵画、公募展出品作とそのエスキースにあたる水彩作品をご覧いただきます。

私は教育系の大学、美術教育学科を出ましたが、卒業後は美術館等で美術作品を見ることはあっても絵画制作は止めていました。

しかし、2020年コロナ禍により世の中の動きが止まった時期、人影の少ない地元の山や町を歩いたときに「絵に描いてみたい」という気持ちがわいてきました。

最初は水彩、次にアクリル、さらに油彩と画材も展開していきました。
私の目指すところは古典絵画的な表現ですので、出来るだけ伝統的な技法で描くように、研究も行ってきました。
それは徐々にリハビリで慣らしていくような作業だったかもしれません。

2021年からは、新潟の山、海、歴史的な建物、小さな生き物を描いて、公募展に出品してきました。
幸い一定の評価を頂戴することもありました。

2023年はがんの治療、この7月には人工関節置換の手術とこのところ足踏みですが、
ここまで取り組んできた作品群をご覧いただく機会を作ろうと、今回の展示を企画しました。

新潟の各地で見られる、光、風、湿度感…といったものを感じていただけましたら幸甚です。

2024年7月
樋口 明広
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1-1
山中の残雪、春の芽吹き
F20(606×803mm) パネルにジェッソ、アクリル
第53回 南魚展 奨励賞
2021年9月制作
魚沼スカイラインの開通後、まだ残雪の残る光景。
大学卒業後、久しぶりに”まとも”に取り組んだ作品。
乾燥の早いアクリル絵具を使い、ディティールを描き切ることをテーマに制作したもの。
空気感と湿度感を大切にした。

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1-2
南魚沼、山中の残雪
F4(334×243mm) ホワイトアイビス水彩紙に水彩
2021年5月制作
作品1-1のエスキースに当たる作品。
同じ雪渓を様々な角度から見て、どのアングルが良いか検討。
結果、本画(1-1)は縦横から異なる構図になった。

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2-1
新潟県政記念館応接室
P40(1000×727mm) パネルに綿布・白亜地、油彩
第54回 南魚展 新潟日報美術振興賞
2022年9月制作
吸収性の下地に油彩で描いてみた初の作品。
新潟市の歴史的建築物内部を描いたもので新潟県政の重要な話がされた空間だったのではないかなどと歴史に思いをはせた。
ドイツロマン派のフリードリヒやデンマークのハマスホイによる窓を描いた作品を念頭に制作した。

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2-2
新潟県政記念館応接室
F4 ホワイトアイビス水彩紙に水彩
2021年5月制作
作品2-1のエスキースに当たる作品。
本作では書棚が入っているが、最終本画ではそれを省いて要素を整理した。

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3
弥彦山からの眺め〜実りの秋
M30(606×909mm) パネルにジェッソ、アクリル
第19回「弥彦を描く」公募展 奨励賞
2021年9月制作
弥彦山の上から望む越後平野。
夏から現地に通い、稲が黄色く色づいた季節を描くことにした。
近景の緑と熟した稲の黄色、遠景で霞むブルーグレイ。
近景から遠景に至る拡がりを表現した。

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4-1
春陽麗和
F30(727×909mm) パネルに綿布・白亜地、油彩
第20回「弥彦を描く」公募展 新潟日報美術振興賞
2022年10月制作
弥彦神社からロープウェイ乗り場に向かう「万葉の道」の道端。
午後、春の日差しが林の中に差し込む光景。
左側で日を浴びる木の存在感がポイント。
草木や砂利など、とにかく細かくどこまでできるか試した作品。
吸収性の下地に油彩で描いてみた二枚目の作品。

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4-2
春陽
F4 ホワイトアイビス水彩紙に水彩
2022年5月制作
作品3-1のエスキースに当たる作品。
本画と同構図で明暗の構成を確認した一枚。

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5-1
陽光差す海岸
F50(1167×909mm) キャンバスに油彩
第55回南魚展 南魚沼市長賞
2023年9月制作
19世紀英国のコンスタブルの描いた雲を見て発想した作品。
日本海の海岸で見た特徴的な雲を描いた。
何度も現地に通い「これは」と思える光景に出会えた。
ドラマチックな明暗による画面の構成。
キャンバル表面を平滑にするためジェッソを塗布し研磨した。

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5-2
雲の向こうの太陽
F4 ホワイトアイビス水彩紙に水彩
2022年12月制作
作品5-1のエスキースに当たる作品。
透明・不透明の絵具を使い分けて描いた。

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6-1
這いあがる生命
S30(909×909mm) キャンバスにジェッソ、アクリル、油彩
第50回 新潟県芸術美術展 藝展 入選
2022年10月制作
自宅近くに生息するアマガエルが草むらの中で這い上がってくる様、その生命感を表現したかった作品。
構図上では植物の配置がポイント。
乾きの早いジェッソ、アクリル絵具で明暗を付けた後に油彩で仕上げていく手法で描いた。

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6-2
カエルの習作
F4のうち240×240mm ホワイトアイビス水彩紙に水彩
2022年9月制作
作品6-1のエスキース。
構図の検討。

以上、11点を展示しました。
美術館の空間に作品を並べてみると、今までとはちょっと違った見え方になるように思いました。
そういえばこの作品、こんなに色味をのせてたっけ?…とか。
あと、使いがちな顔料・色とそれののせ具合。

これまで美術館で見てきた「目指す」作品との距離感。
クラシック絵画はもっと重厚で豊かな表現じゃないか…という感覚。
今後の精進でどこまで迫ることができるのか?
ある意味「伸びしろ」とか、前向きな見方もできるわけですね。

今回、販売なしで単純に見ていただくという形ですが、「買いたい」と言っていただける作品を生み出せるかは、また次の機会ということで。
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こんな作品が描けたらな~と思う作品集