2018年10月2日初版
監修: 千足伸行
書店でたまたま見かけて購入。
名画を原寸で掲載するシリーズの1冊。
作家別の刊行は西洋画ではゴッホ、クリムト、カラバッジョ等、日本画では葛飾北斎、鏑木清方、伊藤若冲が出ているようです。
このフェルメール版は2018年開催のフェルメール展に合わせて出版されたようですが、この展覧会は行きたいと思っていたのにタイミングが合わずに見られなかったヤツですね。
実物見られなかった分、本書にはピピっときましたね。
買った後で…気づいたのですが、現存するフェルメール作品はサイズの小さいものが多いです。
そのため原寸100%だけでなく、150%、200%、300%なんて拡大画像までのっています。
原寸でも画面全体に近い画像もあったりして、より臨場感が高い気がします。
初期においては大きい画面も描いていたフェルメールですが、どうも大画面ではそれほど良さを感じないのですがどうでしょう。
年代別に見ていくと1650年代の後半から画面が小さくなり、同時に表現も「らしく」なってくるように見えます。
「らしく」というのはカメラオブスキュラを通して見た(と思われる)光の反射を画面に表現したような状態のことです。
他の画家が線描で形をとらえてモデリングするよう(立体感を出すよう)彩色していたのに対して、フェルメールだけは反射した光を時に点描のようなタッチを使って表現していたのです。
現代のデジタル画像で見られるピクセル(画素)の集合での表現と似通っていると思います。
つまりフェルメールは史上初めて直接自分の眼で見ていない光学的画像を描いたのではないでしょうか。
最もピクセル感のありそうな「牛乳を注ぐ女」の部分↓
点描的な表現が最高潮になるのは1660年前後でしょうか。
その後は点より面的な表現が強くなっていったように見えます。
室内画の多いフェルメールですが、個人的に気になったのは風景画です。
同時代の風景画とは全く異なった表現です。
この空気感は…実景をカメラオブスキュラを通して見て、光の反射具合を描いたに違いありません。
巻末に全作品のサイズ比較というのがあって、いかに小型の作品が多いか分かります。
サイズ的にフェルメールの筆遣いが存分に感じられるのが、本書。
オススメ(´∀`)
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