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英語表記は"MASTERPIECES FROM THE NATIONAL GALLERY LONDON"
ロンドンナ・ショナル・ギャラリーの名品…てな感じでしょうか。

2020年前半最大の企画展でしょう。

しかしながら新型コロナウイルスの影響で、当初の会期3/3~6/14は緊急事態宣言の期間と重りほぼ休館、6/18~10/18と大幅に時期をスライドさせての開催になりました。

しかし会期最初は会期変更前に前売り券を購入した人限定であり、新会期決定後にチケット購入する人は6月末からとなっています。
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そして…コロナ対策で来場集中による混雑を回避するため、当日現地でのチケット販売はせず、事前に日時指定券を買って用意しなくてはなりません。

(上画像で「日時指定券をお持ちでない方」とあるのは前売券か招待券でしょうか)

ネット上ではおおむね2週間ごとに発売されていましたが、発売開始日を過ぎるとすぐに売り切れ状態になっていましたので、私は2回目の発売日にオンライン購入したのでした。

見たところ、先に早い時間帯から売れていくようです。

さて、美術館入口で非接触温度計で発熱はないかチェックされて入場です。

日時指定の内容を見せて会場入口に並びます。
指定時間だからと言ってすぐに入れません。

10人くらいずつ時間間隔を開けて入場となります。
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企画展示の入口にある大きなタペストリー。
ロンドン、トラファルガー広場に面するナショナルギャラリー、重厚な建物ですね~(・´з`・)

では気になった作品を順にたどっていきましょう(´∀`)

いくつものハードルを乗り越えて展示室に入ると、まずは第1章イタリア・ルネサンスの作品群です。

15世紀の作品から揃っているあたりがシブイです。

いきなりのウッチェロ!
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パオロ・ウッチェロ「聖ゲオルギウスと竜」1470年頃

線遠近法が使われ出した時代の作例で、地面の芝生をわざわざ四角い形にして遠近法を表現していて面白いですね。

芝に対して岩&洞窟はとても自然には存在しなさそうなシュールな形です。

ゲオルギウスの乗る白馬も前足を立体的に持ち上げていますが…動きがありそうでない…ウッチェロ特有の表現です。

それにしても西洋絵画に出てくる竜は何とも言えない変な生物として描かれていますね(後で19世紀のアングルの作品にも出てきます)

そして、前半の目玉作品
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カルロ・クリヴェッリ「聖エミディウスを伴う受胎告知」1486年

クリヴェッリは細長い手指など独特のデフォルメが魅力の作家です。

この作品はまず、画面がデカい!展示室の天井近くまでありました。

これだけの大画面をゴージャスな装飾で埋め尽くしていますが、建物など15世紀の時代感も反映しているのでしょう。

同時代のボッティチェリもそうなのですが、まだ油彩が一般化する前で卵テンペラで描かれています。

そして16世紀ベネチア派
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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「ノリ・メ・タンゲレ」(我に触るな)1514年

ティツィアーノの初期作です。
確か画集で見たことある作品だと思います。

この時代、空間が一気に自然な表現になりました。

ちょっとひねりの入ったキリストのポーズが優雅です。


第2章は黄金時代17世紀のオランダ絵画。

プロテスタント国で商業の発展により富裕層の市民が絵画を発注し始めた時代です。

このセクションで一番目を引くのはやはり…
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レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン「34歳の自画像」1640年

そのキャリアの中で最も売れていた時代の自画像であり、ルネサンス期に確立した片肘を乗せた半身像は非常に安定感のある構図です。

後期の絵肌のようなゴツゴツ感はなく、優雅にして的確な描写から高いテクニックが感じられます。

17世紀にして19世紀以降の筆遣いを先取りしたフランス・ハルスも!
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フランス・ハルス「扇を持つ女性」1640年頃

本作では口元が微笑んでいる女性が描かれていますが、ハルスはもっと笑った人物も多数描いています。

普通の人間が主役になったオランダ絵画特有の現象でしょう。
この辺カトリックの国では出てこない絵でしょうね。

衣装のレース、ゴールドのアクセサリーの表現は冴えわたっています。

あと、みんな大好きフェルメールもありますよ(・´з`・)
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ヨハネス・フェルメール「ヴァージナルの前に座る若い女性」1670-72年

例えば牛乳を注ぐ女のような空気感は少なくやや空間が硬いような気もしますが、背景の画中画や手前の楽器による空間組み立ては一つの見どころでしょう。

ラピスラズリのブルーがきれいですね。


第3章はヴァン・ダイクから始まるイギリス肖像画。

まずはヴァン・ダイク。
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アンソニー・ヴァン・ダイク
「レディ・エリザベス・シンベビーと アンドーヴァー子爵夫人ドロシー」1635年頃

姉妹の肖像ですが、妹のエリザベスがキューピッドから花を受け取っているので結婚記念の絵だろうとのこと。

ルーベンスの弟子でもあったダイクは師匠譲りの流麗な筆致で豪華な衣装や繊細な髪を表現しています。

なにより「適度に」美化された優雅な雰囲気が人気を呼んだことがよく分かります。

この「優雅に」という部分がイギリス肖像画のトレンドとして以後300年は続いていくのですね。

このセクションではヴァン・ダイク以後イギリスで活躍した主だった画家がズラリと…

ヘリット・ファン・ホントホルスト
ジョージ・スタッブス
ジョセフ・ライト・オブ・ダービー
トマス・ゲインズバラ

そして、ロイヤル・アカデミー初代会長となったレノルズ。
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ジョシュア・レノルズ「レディ・コーバーンと3人の息子」1773年頃

同時代のゲインズバラがロココ調の流れるような筆致なのに対して、レノルズは古典的なかっちりした描き方です。

この作品での注目ポイントは子供の描写だと思います。

それまでは聖母子の幼子イエスか天使の姿で表現されていたのが、スペインのムリーリョの影響か実在する子供の姿を可愛らしく描くことが始まったわけです。

西洋美術館常設展のジョン・エヴァレット・ミレイ(19世紀ラファエル前派)の「あひるの子」もこの系譜にある作品でしょう。


今回初めて名前を聞いた画家、トマス・ローレンス。
日本ではほとんど知られていないようですが、技量はものすごく高いですね。
「サー」の称号がつくようなので、イギリスでは存命中から評価が高かったようです。
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トマス・ローレンス「シャーロット王妃」1789年

ローレンスが20歳そこそこでの作品。

王妃は画家の若さに不安感があったそうで、ポーズをとるのも全く乗り気ではなくそれも表情に出ているような気がします。

王侯貴族の肖像ではその豪華な衣装やアクセサリーが見せ場ですが、本作も鮮やかな筆さばきで見事な出来栄えとなっています。

アカデミーで展示されると高く評価されたものの、王室も引き取ることもなくローレンスがなくなるまでアトリエに置かれていたそうです。


第4章はグランド・ツアー。

18世紀は科学が発展しだし、合理的な考えを広めようという啓蒙主義の動きもあった時代。

その時イギリスで発生した旅行ブームでイタリアを訪れることが紳士の教養とされ、イタリアの風景画を旅の記念に持ち帰ったそうです。

ローマやヴェネツィアはこんなところだったよ!と言えるわけです。
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カナレット「ヴェネツィア:大運河のレガッタ」1735年頃

ヴェネツィアと言えばこの人。
名前からしてカナレット=小カナル(「カナル」=運河・水路)というくらいです。

レガッタを題材とした作品は何点も描かれたようで、同じ構図の作品が複数存在するようです(人気作は量産される!)

線遠近法的に伸びる運河に大量の舟と人間が描き込まれ、街の賑わいが伝わります。

現代では旅行に行くと現地で記念撮影、SNSに投稿…という感じでしょう。
18世紀はそんな道具もないので、イタリア現地で肖像画を描いてもらったようです。
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ポンペオ・ジローラモ・バトーニ「リチャード・ミルズの肖像」1759年頃

バトーニは当時の売れっ子肖像画家で、本作では一枚の画面にローマを訪れて古代の教養に触れたこと等を優雅に表現しています。

それにしてもこのミルズ氏のどや顔!( ゚д゚ )


第5章はスペイン絵画の発見。

なんで「発見」なのかと思ったら…歴史的にバロック期までライバル関係の国であったためイギリスとは芸術上の交流がなかったのが、18~19世紀に徐々に作品が収集されていったそうです。

スペインと言えばベラスケス!
エドゥアール・マネが「画家の中の画家」と言ったとか...。
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ディエゴ・ベラスケス「マルタとマリアの家のキリスト」1618年頃

画家として独立して間もない頃の初期作。

当時流行っていた厨房・飲食関係の風俗画「ボデゴン」として描かれていますが、窓の奥では椅子に座ったキリストがマルタとマリアに話している光景があります。

手前では若い女性に老女があれこれ指図しているようです。
若い女性はなにかをすり潰していますが、なんとも嫌そうな表情で…その表現はさすがベラスケスという感じです。

「プラド美術館展」とか「ハプスブルクなんとか展」のような企画だと宮廷画家になって以降の作品ばかりで当然それらもイイのですが、こういう初期作が見られるのは貴重です。

今回の展示で初めて知ったのですが…イギリスで最初に人気の出たスペイン人画家はムリーリョだったのですね。

レノルズのところで述べましたが、子供を実際の子供のごとく可愛く描く流れはこのムリーリョから始まったようです。
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バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「幼い洗礼者聖ヨハネと子羊」1660-65年

この作品では洗礼者ヨハネということになっていますが、同時代実際に存在した子供をそれらしく描いています
(何の予備知識もなくこの画面を見せられたらほぼ全員「羊と戯れる子供」だと思うでしょう)

とうとう、本当にそこらにいる普通の子供を作品にします。
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バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「窓枠に身を乗り出した農民の少年」1675-80年頃

天使だとか聖人の幼少期だとかいう口実もなく少年を描いています。

18~19世紀に活躍した、私も大好きなゴヤ。
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フランシスコ・デ・ゴヤ「ウェリントン公爵」1812-14年

モデルとなった人物は、フランスの占領状態からスペインを解放したイギリスの軍人。

その功績からこのような肖像画が描かれたのだろうとのことですが、戦場での勝者のような覇気は全くありません。

軍人の肖像と言うと胸をはり自分の功績を誇示することが多いのに、ゴヤという人はモデルの人間性にフォーカスしてしまうのですね。

あと、日本で紹介されることの少ないスルバラン。
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フランシスコ・デ・スルバラン「アンティオキアの聖マルガリータ」1630-34年

ほぼ等身大に描かれた女性の聖人。

かっちりと塊として表現された人物像は、静物画的でもあります。
そういえば、ここにも西洋風の竜が描かれていますね。


第6章は風景画とピクチャレスク

現代の価値観では我々の身近な風景に美を見出すことは当たり前だと思いますが、その昔は単なる風景ではわざわざ絵画にする価値はないとされていました。

故に風景を描きたい画家は神話や宗教主題の背景に理想的に組み立てられた風景を表現していたのです(19世紀のターナーでさえ大作にはそうした作品が多い)

そうした崇高な主題はやはり教養のある階層でないと理解できないのですが、時代が下って18世紀になると上流階級よりちょっと下の階層の人々が絵画に関心を持ち始めたそうで、風景そのものの見え方に価値を見出す「ピクチャレスク」という概念が生まれたとのこと。

その辺の流れを見るセクションです。

19世紀イギリス風景画といえば、ターナーなのですが…どういった影響関係でその画風に至ったのか非常にわかりやすい展示が...
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クロード・ロラン「海港」1644年

理想的に風景を組み立てた作品の例。

左に石造りの立派な建物、右に帆船を配し手前の浜には17世紀当時の人々が集って、全体は金色の太陽の光に包まれています。
これが朝日か夕日かはよく分からないとのこと。

これがターナーに影響すると...↓

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ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー「ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス」1829年

神話が主題の作品ですが、明らかに太陽の光の効果を現わしている画面です。

もろにロランの要素を取り込んでいるのがよく分かりますね。

巨人ポリュフェモスは画面左上にいるのですが…言われないと気付かない人もいるのではないでしょうか。
その辺の説明的な分かりやすさは放棄していると思います。

このモヤっとした画面がもっと進化すると、モネの「印象~日の出」につながっていくのでしょう。

19世紀、ターナーと並んで風景画の大家となったコンスタブル。
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ジョン・コンスタブル「コルオートン・ホールのレノルズ記念碑」1833-36年

前に触れたレノルズの記念碑とそれを囲む森を描いています。

画面は意図的に構成されているそうですが、表現はかなり自然主義的になっていますね。

この方はモノに光が当たった部分を白っぽいハイライトでキラキラ感を出すのが得意技。


第7章はイギリスにおけるフランス近代美術受容

19世紀以降フランスの美術は印象派のような革新的な動きをみせますが、それもイギリスに流入していったというところを見ていきます。

おそらく国際的な人の行き来が拡がったこともあるのだと思います。

印象派の前にまずは古典主義のアングル。
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ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル「アンジェリカを救うルッジェーロ」1819-39年

イタリアの叙事詩からとられた主題ですが、ギリシャ神話の「アンドロメダを救うペルセウス」とほぼ同じ内容。

アングルという人は線の美しさを表現するためには、人体の解剖学的にはあり得ない表現をしてしまうのでした。
本作でもアンジェリカの首のラインがのけぞり過ぎてまるで腫れているようだと当時は指摘されたそうです。

来歴はアングルを敬愛していたドガが持っていたとのこと。

さて、不思議と落ち着く花の絵がひとつ。
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アンリ・ファンタン=ラトゥール「ばらの籠」1890年

繊細な表現が魅力の作品です。
ファンタン=ラトゥールは印象派の画家とは仲のよい友人ではありましたが、印象派にはならなかったという人です。

この絵が描かれた頃にはゴッホが亡くなってしまうわけですが、すでに全く新しい絵画を生み出していて本展示の最後で「ひまわり」を見ることができます。

19世紀末、一般にはこの作品のような表現が好まれていたのでしょう。
ゴッホの作品も売れないわけです。

常設展示ではファンタン=ラトゥールの奥さんによる非常に表現の似た作品が展示されていました。


印象派らしい風景画もありました。
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カミーユ・ピサロ「シデナムの並木道」1871年

穏やかな日差しを感じる色彩、道行く人々もいきいき描かれています。

まだ筆触分割は目立ちませんが、おそらく実際見えたように描いたのでしょう。

見えたままの風景そのものに価値を見いだすことが19世紀に起きた変化です。

そうそう…もちろんモネもありましたよ。
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クロード・モネ「睡蓮の池」1899年

常設展でも多数展示されるモネですが、自宅に造成した池の睡蓮を描いた作品は水面のみにフォーカスしたもので、周囲の木々や太鼓橋も構図に入れたものはありません。

この作品は水面のみを描くようになる前の段階での制作です。

筆致も最晩年の自由な「色のしみ」的なものではなく、まだ「画素」的な几帳面な細かさがあります。光学的とでもいうような表現ですね。

常設展で見られる池の水面のみを描いた作品↓


そしてルノワール、印象派技法での初期作。
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ピエール=オーギュスト・ルノワール「劇場にて(初めてのお出かけ)」1876-77年

この方は女性を可愛く描くことに生涯を捧げた人です。

画面の主人公はお金持ちのお嬢様でしょう。初めて劇場に来た「ドキドキ感」が伝わります。

背後の観客たちは、荒いタッチで表現され(揺れ感ほとんどエル・グレコw)そのざわめきが聞こえるかのようです。

印象派全般そうなのですが…陰に黒絵の具を極力使わないことが多いのですが、目だけは黒を使うというのがルノワールのスタイル。

来歴は実業家サミュエル・コートールドの寄付金で購入されたとのこと。

このコートールドさんは19世紀フランス美術収集を熱心に行った方で、ナショナルギャラリーへの支援と同時に自分のコレクションも美術館ができるくらい集めたのでした(どんだけ金持ちなんだよ!)

昨年「コートールド美術館展」がありましたが非常に充実した展示でした。


印象派の展覧会に参加しつつも、線で形態を把握することに長けていたドガ。
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エドガー・ドガ「バレエの踊り子」1890-1900年頃

もはや空間はほのめかされるだけで、絵具も画面全てには塗られていません。
この状態で完成とする…作品の「完成」に対する意識も革命的に変えたのが印象派でした。

技法的には...画面中央に方眼が引かれていて、デッサンを写した痕跡が見えます。

ボワボワっとした画面に見えますが、緻密に要素を組み立てた構図なのでした。

そ・し・て、今回の超目玉!
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フィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」1888年

アルルでゴーギャンと共同生活しようと、用意した寝室を飾ろうと描いた作品。

ゴーギャンもベタ褒めしたと言います。

本展示ではゴッホの描いた歴代7点のひまわりが写真で紹介されていました。
やはりこの作品の完成度が一番だというのは納得です。

あらためてよく見ると全体的に黄色のバリエーション(白っぽい黄~茶)で描かれています。
黄色以外では茎の緑と青の線(黄色の補色)がわずかに使われています。

ひまわりの花そのものはその形をなぞるかのように描かれていますし、背景の黄色はよく見ると縦・横の規則正しい筆致で覆われています。

この後、ゴッホの描く作品は全体がウネウネの筆致が画面を覆っていくのですが、アルル時代のこの作品は平板に塗ってみたり盛り上げてみたりと効果的な使い分けが見事です。

多分、ゴーギャンもその辺も含めて評価したのではないでしょうか。

ゴッホのひまわりに関する特別映像。
とても分かりやすい内容です。

…とまぁ、全61作品すべてが日本初公開にして高水準の出来という非常に贅沢な展示でした。

出品作品のリスト(PDF)
日時指定・人数限定のためチケットが取りづらくなっているようですが、オンラインツアーの動画がアップされています。


物販もコロナ対策で入場制限(´Д`)
売り場の滞在人数を一定以上にしないようになっていました。
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今回の図録は標準的なものより明らかに高いグレード(お値段2900円税込み!)
解説などのテキストも充実で、思わず購入!
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ナショナルギャリーのWEBサイト
収蔵作品の高精細画像が見られたりと充実しています。


本展覧会の公式WEBサイト


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ロンドン・ナショナル・ギャラリー展の解説本


2020年注目の美術展ガイド


ロンドン・ナショナル・ギャラリーの作品でたどる美術史


マンガで知るナショナルギャラリー