田中靖浩氏による「会計エンターテイメント」
現代の複雑に見える会計のしくみが、歴史に沿ってそれなりの必然性をもって出来上がってきたことが分かります。
会計上のエピソードだけでなく、美術や音楽、産業革命の象徴である鉄道の発展等の話を交えて展開する読み物としても楽しめます。
東方貿易のヨーロッパでの玄関口となっていたイタリアで、そもそも「いくら儲かっているのか?」を把握するために会計が発明されたとのことで、その前提にはアラビア数字の普及があったというところなど、歴史の必然を感じます。
その後、新航路やアメリカの発見で貿易の流れがオランダに移り、さらに大英帝国が産業革命でヨーロッパの中心に躍り出て…鉄道という巨大事業がアメリカで隆盛を極め…産業規模が大きくなるにつれて、不特定多数から投資を集めるようになり、現代ではファンドという形になっていった。
…とまあ資本主義の拡大の歴史が、楽しみながら概観できるというわけです。
この本を読むと、日本人はまだ20世紀前半くらいの意識の方が多いのではないか?とも思ってしまいます。
もっとも、現代の投資の効率ばかり追求する経済ってのもどうなのよ…(そんな拡大状況が未来永劫続くのかという疑問も含め)と感じますね。
オススメ本。
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