2019年6月1日、上野にある東京国立博物館に行きました。
本館での特別展「美を紡ぐ ⽇本美術の名品 ―雪⾈、永徳から光琳、北斎まで」がお目当てでした。
皇室ゆかりの品や国宝などを展示しながら、文化財の修復も行っていくという「紡ぐプロジェクト」という企画の一環です。
展示点数は約40点と多くはありませんが…選りすぐりの作品が並んでいました。
今回の目玉は何といっても狩野永徳の大画面が一度に見られる!
しかも教科書に必ず乗っているのではないかという超代表作の唐獅子図屏風と檜図屏風!
唐獅子図屏風(右)狩野永徳
元々はどこかの障壁画だったそうですが、屏風に仕立て直し、さらに左半分を永徳の曾孫の常信が描いて現在の形になっているとの解説でした。
どう考えても国宝級なのですが、皇室所蔵のため慣習的に文化財指定はしないとのことでした。
宮内庁三の丸尚蔵館収蔵作品紹介WEBサイト
唐獅子図屏風(左)狩野常信
永徳の獅子は塊り感ががっちり出ていましたが、常信の獅子はサラリと平面的な感じです。
100年前後の時代の隔たりがあるのに…なんとか永徳の画面に合わせようとした感じはしますが…これも天下を取り合った桃山時代と平和な江戸時代の気風の違いが反映しているのかなぁ…と思いました。
もう一つの超有名作!
檜図屏風 狩野永徳
こちらはずばり国宝指定されています!
ゴリゴリと描かれた極太の幹が他の時代にはない迫力を出しています。
個人的に目をひかれたのは…檜の背後に使われている青の色です。
水深の深い澄んだ湖のような深いブルーは高価な顔料を惜しみなく使っているのでしょう。
国宝絵画でやはり欠かせないのが…雪舟!
秋冬山水図 雪舟
実際のサイズは結構小さいのに、空間の広がりがすごいですね。
傑作たる所以です。
女性の「カワイイ~♡」という反応が目立ったのが
花鳥遊魚図巻(部分) 長沢芦雪
他の動植物は写生をベースにした描写ですが、犬だけは今日のマンガっぽい!
ですが、毛並みがもふもふしていそうなところはやはり周到な観察から生まれるものなのでしょう。
子犬以外は、線と面を自在に使い分けた描写に高い技術を感じます。
葛飾北斎は浮世絵ではなく肉筆の西瓜の絵が出ていました。
半分に切った西瓜と剥かれた皮が垂れ下がっているという謎構図。
斜めに置かれた包丁はヨーロッパの静物画でよく使われた奥行きを示す手法に通じます。
この展示では作品の修復活動の紹介もテーマになっていました。
修復の過程や、使われる多様な和紙の紹介など興味深いものでした。
出品作品リスト
続いて本館内の常設展示も見ましたが、定期的な展示替えもあり毎度面白い作品との出会いがありますね。
虚空蔵菩薩 鎌倉時代
背後からレーザービームが出ているように見える!
すごく現代的!
この後行ったNegiccoのライブでもレーザービームが効果的に使われていたのでした( ゚д゚ )
あと、佇まいがイイなと思った花鳥画。
狩野派二代目の元信の弟、之信の作らしい…という解説でした。
安土桃山時代の豪壮さが現れる以前の端正な画面です。
花鳥図屏風(左)
花鳥図屏風(右)
そして、長谷川等伯の高密度な山水画!
瀟湘八景図屏風(右)
部分拡大
密度感すごいです!保存状態も良好!
武士の装束、武具のコーナーもトーハク(東京国立博物館)ならでは
南蛮(=ヨーロッパ)の情報が入ってきて変貌を遂げた甲冑
烏帽子形桐紋兜 桃山時代
豊臣秀吉のものらしい( ゚д゚ )
精緻なネギ!?…ではなくて菖蒲のようですね(´∀`)
そして…令和にちなんだ展示も
金文字で万葉集すべてを書き写した巨大な作品!
「令和」の出展元となった部分はここだ!
そして、蒔絵など漆工芸も超絶技巧も!
初瀬山硯箱 室町時代
黒漆の夜空に銀の月、黄金の山!
比良山蒔絵硯箱 江戸時代
非常に繊細な表現の硯箱!
なんと!物販では…本気の螺鈿、蒔絵のレプリカ硯箱が販売されていました!
324万円なんて…誰か買う人いるのでしょうか??( ゚д゚ )
他にもイイものたくさんでしたが、きりがないのでこのくらいでw
上画像は癒しのハニワ
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