2018年11月1日…晴天の上野、ルーベンス展からのはしごで東京都美術館で開催のムンク展を見に行きました。
何といっても…みんな大好き(?)「叫び」が来日ということで、そこそこ混雑するかなぁ~と予想していましたが、ド平日にもかかわらずかなりの人口密度で土日はどうなっちゃうんだろう…といらぬ心配をしたのでしたw
「叫び」1910年?
他に油彩や版画等いくつかのバージョンが存在するが、最後に描かれた作品のようです。
これは主にテンペラで描かれた一枚。
厚紙に描かれていますが、紙の地色が生かされた…マットな表面感が特徴。
Wikipedia「叫び」の項目ページ
そういえば、ムンクは画面の光沢感を嫌ったそうで…確かにどの作品も強い色彩なのにきつくなり過ぎないのはそのせいなのか…と気づいたのでした。
「絶望」1894年
「叫び」のバリエーションだと思われます。
「叫び」が描かれた頃にムンク自身は精神的に最悪の状態だったのかなぁ~と勝手に思っていたのですが…この1890年台1900年台初期にかけて、実は世の中で評価され認められ始めていたようなのです。
むしろその成功の後に精神的に状態が悪くなり、1908年から数か月アルコール中毒の治療で精神病院に入っていたそうです。
今回の展示を見て初めて知りました。
「叫び」をはじめとする生命のフリーズに含まれる「接吻」の連作。
この展開が興味深い。
初期においては実際のスケッチから入ったのでしょう。
版画ですが、比較的写実的です。
「接吻」1895年
銅版画(エッチング+ドライポイント)
これが後には、抽象度が増して頭部が融合したかのような表現になっていきます。
「月明かり、浜辺の接吻」1914年
接吻の人物像と他でも繰り返し登場するノルウェーの海岸(樹木も)が組み合わされています。
面白いのは、人物も樹木も画面上では等価で表現されている点です。
この適度な抽象性がムンクの個性になってきた作例です。
「接吻」からのバリエーションなのかと思わせるのが…「吸血鬼」の連作です。
女に血を吸われる男という図式です。
「森の吸血鬼」1916-18年
この画面も人物と木の枝が同じ強さで表現されています。
ムンク自身が付き合っていた女性像が色濃く反映している「マドンナ」
一つのリトグラフの版からいくつかのバリエーションが作られています。
「マドンナ」1895/1902年
リトグラフに手彩色が施されたように見えます。
今回、リトグラフの石版も展示されていましたが、何気にレアなケースではないでしょうか。
(マドンナと吸血鬼で両面が使われていました)
版画と言えば…ムンクは木版でも作品を残していて、実は版画家としても重要な位置にいるんですね。
「浜辺にいる二人の女」1898年
多色木版画ですが、版木が展示されていました。
海の青い部分と陸地の緑の部分は別の版木でそれを精緻に組み合わせていました。
わざと木目が出るようにするという技も面白いですね。
本展示では後半生・晩年の作品もあったわけですが、個人的に印象に残ったのがこの自画像。
「自画像、時計とベッドの間」1940-1943年
第二次世界大戦のさ中に描かれた作品ですが、色彩は明るめで部分的にはあっけらかんとしたような印象さえ受けました。
全部で100点ほどの展示ですが、一通り見終わって感じたのはルーベンス展と同じく、プロの画家はモチーフや構図の再現力があるということでした。
ルーベンスとムンクでは300年近い時代の差がありますが、結局表現を突き詰めようとすると同じモチーフを何度も再現することになるのでしょう。
「叫び」ばかり見ているとムンクという人に対して「狂気」という言葉が浮かんでしまうかもしれませんが、画業全般を見わたすと実は画家として正統的なアプローチで作品を生み出していたのだと気づくのでした。
今回の展示でもオンラインチケットがありました。
クレジット決済で、QRコードを携帯電話の画面に表示すると入り口で紙のチケットを渡してくれます。
さて、毎度お楽しみの物販w
世界的にも大人気の「叫び」は手変え品変えての商品展開です。
まずは、定番(?)空気人形。
カラバリがあります( ゚д゚ )
かなりインパクト大なてぬぐい
「叫び」が全面にプリントされたトートバッグ。
やや、やりすぎ感が漂いますね。
当然のごとくTシャツもあります。
意外とフツー( ゚д゚ )
マグカップもありますが…飲み物を美味しく感じるのか?
悪ノリ系企画で、「ム~チョの叫び」
やはり「叫び」がつくとどのグッズも病んだ感じがでてきますね( ゚д゚ )
もちろん「叫び」以外の作品を取り上げたグッズもありますよ(´∀`)
物販コーナーを出ると、WEBを使った参加型の企画も!
自分流の叫びを描いて美術館のディスプレイに表示できるようです。
DREW! SCREAM
やはりムンク…予想通りの人気ぶりで、平日の鑑賞がおススメです。
混雑状況をつぶやいてくれる公式Twitter
展覧会公式WEBサイト
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