佐野元春のセルフカバーアルバムです。
2011年の「月と専制君主」に続いてこれが二作目のセルフカバーということになります。
音の感触が「月と~」と似ているなぁ…と思い演奏者を見てみると今回の「自由の岸辺」もほぼ一緒の面々でした。
なぜか名義が今回は佐野元春&THE HOBO KING BANDと前作にはなかったバンド名がついています。
それだけこのバンドのサウンドの特徴を明らかに示したかったのかな…と思っております。
(でも、ハートランド時代からの人もいますね)
元々、音源の時とは大幅にアレンジを変えてライブで演奏したりすることの多い人で、その振り幅も自由自在なイメージがありますが、今作も思いっきりやってますね(´∀`)
このバンドで奏でられる音は、機械をできるだけ排して「人間が楽器を鳴らしている」感に満ちています(ぬくもり、厚み…)
曲調がゆったりしたものが多いというのもありますが、アナログで聴いたら味が出そうな仕上がりだと思います。
さて選曲ですが原曲は全て1999年以前で、1980年の1stアルバムから2曲(!)、シングル曲は「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」だけ(かな?)
どの曲も60歳を超えた元春が「今表現するとこういう意味を含ませられるんだよ」と言っているように聴こえます。
穏やかにして深みがあります。
何回か聴くたびしっくりきて飽きがこなそうなのは何故でしょうか。
歌詞も原曲から一部アレンジされてます。
「グーグルの検索窓」なんていかにも現代じゃないか!とニヤリとさせたりしますが…「Pop Children With New Machine」→「最新マシンを手にした子供達」のようにまるっと日本語に置き換えられているタイトルもあります。
前作「月と~」も日本語への置き換えはありましたね。
最近、NYでポエトリーリーディングをした時のドキュメンタリーがNHKで流れていましたが、年齢を重ねるごとに元春自身も日本語に対する意識が強くなっているのではないかと思います。
個人的にしみる曲は「僕にできることは」と「メッセージ」でしょうか。
「僕に~」では
「できるこは何か考えている」…まさに今現在僕がすっと考えていることで、「君のために」の君が誰なんだろう?そんなところでグルグル回っているんです。
「メッセージ」では
色々な言葉で、現代は不幸で不条理な世界だけど…(そんなことに構っていないで)本当の声(=自分で感じ考えたこと)を聞かせてくれ…というように僕には聞こえました。
原曲の英語部分が日本語に置き換えられていて、それ故に言葉がより入りやすくなっていると感じました。
初回限定版では映像DVDがついています。
5曲分の映像ですが、前2曲はMV、後半3曲はビルボード東京でのライブ映像です。
全体4曲目「ブルーの見解」…曲に入る前のMCで、ちょっと面白いことを話してます(ちょっとオススメw)
佐野元春を昔から知っている人は「こんな表現もできるんだ!」という驚きがあるでしょうし、あまり知らないという人にとっても新鮮ではないでしょうか。
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