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日本国内に向けては、特殊メイクを担当した辻一弘氏がアカデミー賞を受賞したことが大きく紹介されていました。

主演のゲイリー・オールドマンについては、リュック・ベッソン監督の「レオン」でヤク中刑事をいかにもヤヴァイ人風に演じていた印象が強くて、どうしたらチャーチルを演じられるのか?と思っておりました。
でも、さすが!特殊メイク!目つき以外はほぼチャーチルっぽいです。
↓実際のチャーチル。このポーズも含めてゲーリー・オールドマンはよく再現していました。
Sir_Winston_Churchill

さて、映画のストーリーですが…一言で言うと、チャーチルが首相になってからイギリスが第二次世界大戦に総力戦で臨むことになった過程が描かれています。

歴史を調べると1940年5月10日に首相就任、ダンケルク撤退作戦完了が6月4日とあり、映画ではこの数週間の出来事に絞って作られています。
前後のことは全く触れられていませんので、第二次世界大戦初期の知識は多少必要かもしれません。

しかもゲイリー・オールドマン演じる主人公の一人称的な展開がほとんどで、画面的にもチャーチルの自宅や軍の作戦室、バッキンガム宮殿、国会議事堂など室内ばかりという閉塞感たっぷりで、当時の緊迫した空気感を醸し出しています。
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興味深いことに、戦闘シーンはほとんどなく(フランス、カレー守備隊が爆撃されるくらい)政治家の活動に焦点を絞った展開になってこれはこれでよいでしょう。

緒戦の負け戦から現実的選択肢としてナチスドイツとの和平交渉しようとする前首相のチェンバレン、ハリファックス子爵とチャーチルとの駆け引きが全体の軸となっている。

フランスで陸軍戦力が全滅寸前という状況に至り、抗戦派のチャーチルも和平交渉の道を選ぶか迷いに迷う。

我々はその後どうなったか知っているが、当時はアメリカが参戦するかもわからず(実際チャーチルがルーズベルトに電話で援助を求めるが中立法のためにできない云々の場面あり)勝利の確信もない中での判断であり、そう思うととんでもないストレスであっただろうことは想像できます。


終盤、地下鉄で一般市民と話して徹底抗戦の決意を固めるシーンがあるが…実話か否か?創作部分ではないかと思いますがどうでしょう。


映画の最後にイギリスは挙国一致内閣でドイツに徹底抗戦することを決めますが、そこには世論の支持もあったということが(地下鉄のシーンで)描かれます。
世論の支持があり、政党の対立を超えて議会が挙国一致になっていくという流れは…日本も同じような流れではなかったか?そんな風に感じました。

また、国王は最終的な政治判断はしないが…本当に困難な状況では「助言」をすることもあることも描写されていました。
(劇中最後に国王がチャーチルを支持すると言い切る場面がある)
この辺も日本の天皇の在り方とかなり似通っていると思いました。


第二次世界大戦の歴史を見れば、イギリスはさらにアジアやアフリカでも負け続けましたが、アメリカの参戦をきっかけに戦況逆転…日本は逆に戦況悪化から敗戦と明暗が分かれたわけです。

後からは結果を知っているので何とでも言えますが…当時、判断する立場ならどうしても「賭け」の部分がある中で決めていかなければならないわけです。
この映画で最終的に言いたいことは…そんな不透明な中で人間にできるのは信念をもってやり遂げることなのだ…というようなことなのかな?


おっさん率が異常に高いキャスティングですが、秘書役のリリー・ジェームズが良い感じでした。
映画冒頭、秘書として初出勤の場面でチャーチルにガミガミ言われて心折れかけたけど、なんとか続けて最後国会で演説を見守った表情が爽やかでしたね。
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堅いというか重い内容の映画なので、上映館が少なめで近所でやっていなかったため、東京に出かけたついでに日比谷でみました。


「戦争への判断」が中心に語られる映画ですので、人によっていろいろな感想を持ちうる作品です。


原題「DARKEST HOUR」=最も暗い時間(イギリスにとって最もつらい日々のことかな?)

映画「ウィンストン・チャーチル」公式サイト

Wikipedia「ウィンストン・チャーチル」(人物について)


長めのトレーラー