ある日、気づいたのです。
「おや!?運慶の特別展示が11月26日で終わりじゃない!」
本展示の公式サイトは2017年12月7日現在まだ見ることができます。
そこで、その最終日11月26日に見に行きました。
夜行バスで午前5時半には上野にいたわけですが…開場約1時間前に東京国立博物館前に来てみれば…まあ、うん百人単位の行列!
でも、鳥獣戯画に比べれば大したことないかな(´Д`)
…で、驚いたのは東京で開催の特別展示はそのほとんどでオンラインチケットの扱いがあって、現地のチケット売り場で並ぶ必要がないんですね。
事前にネット上でチケットを購入して、QRコードをスマホに表示しておけば、展覧会の入り口でバーコードスキャンしてしまえばOKなんですよ。
スキー場でもこうした動きは、今後加速度的に進むのではないかと思いました。
さて、会場10分前ともなると、敷地内に入れてもらえますw
展示会場は正門から左奥の平成館。
9:30オープンでしたが、場内人が入りすぎると身動き取れなくなるので数十人ごとに区切って入場で、私が入れたのは9:50頃だったでしょうか。
さすが!数十年に一回と言われる展示内容ですよ。
運慶本人だけでなく、父康慶から息子の代まで数十年間の流れを見ることができました。
時代的には平安時代末期~鎌倉時代初期にあたります。
↓運慶デビュー作の大日如来坐像
言われてみると…平安時代に確立した定朝様式と比べると若干立体感が強いですね。
平安時代までは仏像と言っても如来、菩薩といった高位の仏様が多かったようでしたが、武家が実権を掌握する時代に入ると四天王や童子が流行りだしたようです。
で、運慶のメイン展示室の最初にこの毘沙門天立像。↓
基本左右対称な表現が多い如来、菩薩像と違って、ひねった身体に感情の出た表情など動きのある形になっています。
邪鬼を払うというのも武家の気質に合っていたのでしょう。
目を生き生きと見せるための玉眼も特徴です。
より人間に近い表現として八大童子立像(のうち六体)も見どころでした。
一部女性の方から「かわいい~」との声もw
個人的にハイライトだと思ったのは、この四天王像ですね。
特に多聞天。左手を差し上げて視線も天を仰ぐ…非常に演劇的というか高い精神性を感じます。
そしてリアリズムあふれる無著菩薩立像。インドの高僧を現わしているそうですがどう見ても実在の人物をモデルにしたように見えます。実際の人間の顔は左右対称ではないと言われますがこの像も目の大きさなど微妙に違っていて非常にリアルです。
大変見ごたえのある展示でしたが…誰が作ったかはっきり表示されない作品が多かったかな?
作者が確定されていないものも多そうなので仕方ないとは思いますが。
で、最後物販で笑ったのが「十二神将ピンバッジ」のガチャ!
バンダイですよ(´∀`)
特別展「運慶」作品リスト
続いて本館の展示も見ました。
外国人の多さが印象的でした。
立派な階段。レキシのMV(姫君Shake!)でも使われましたね。
「詩書屏風」三井親和筆 江戸時代(安永9年・1780)
全然知らなかったですが、様々な書体が同居して非常に面白い。
作品情報ひかえるの忘れましたが、非常に精緻な金属工芸による竜。
全体が可動式で自由にポーズを変えられるという超絶技巧な作品。
現代のアニメロボットの精密なフィギュアの源流か。
和服の展示も面白かったですね。
大胆な切り替えデザイン、現代のスポーツウエアでもここまでの表現はあまりしないでしょうね。
印籠の展示。徳川の家紋は!?と期待しましたが…やはりありませんでした(´Д`)
さて、続いて西洋美術館の「北斎とジャポニスム」に突入!
この展示は年明け1/28までやってます。
これは、一言でいえば葛飾北斎がいかにヨーロッパの画家に「いちいち」影響を与えていたか…すべてのヨーロッパの作品に対して「いちいち」北斎の元ネタが対になって展示されていました。
展示の最初のパートは北斎漫画を必死に模写していた画家たちの作例がひたすら並びます。
北斎漫画は現在の目で見ても新鮮に感じる視点のポーズが多いと思いますが、19世紀ヨーロッパの画家にとっても「そんな角度からみるのか!」「そんな場面も絵になるのか!」と衝撃を受けたのでしょう。
とにかく小さめの作品が数多いので、あまり根を詰めて見るとグッタリするかもしれません。
メジャーな例だと…まずはモネ。
近景に並木を配し遠景と対比する手法。
セザンヌのサント・ビクトワール山を描いた構図の元ネタが遠景に富士山を見る浮世絵だったり。
この辺は「言われてみれば…そうかも」という感じですが、スーラの岬を描いた作品の元ネタが北斎の波の形であるとかね。
個人的に思うのは、スーラって作品縁取るように違う色で枠を描きますが、それもこの北斎の作品から取ってきたのではないかな?ってこと。
他にも、昆虫や動植物の表現は様々な形で取り入れられていたことがわかります。
絵画だけではなく、陶器やガラス工芸作品もありました。
作品リスト(PDFファイル)
特別展に合わせて出版されたガイド本
運慶への招待(朝日新聞社)
北斎漫画(Kindle版)
980円!
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