見に行ったのは2017年10月22日
モノリスが出迎える長岡市、新潟県立近代美術館。
展示の正式名称は「没後90年 萬鐵五郎展」
エントランスから怪しげ?
萬(よろず)鐵五郎(てつごろう)=日本の画家、主に大正時代に活躍した画家…なんですが
写真ではこんな風貌の方です。
ヨーロッパの最新の芸術動向をどんどん取り入れた作風で、日本美術史に確固たる地位を確保しています。
…なんですが…なんというか、ヨーロッパ直輸入的な部分もあって…「まんまじゃん!」という作品も多いのです。
東京美術学校(現、東京美術大学)卒業制作の自画像
ここまでは基本に忠実に描いています。
何年かのちに自画像もこんなになってしまうなんて…まるでフォービズム!
どうしちゃったんですかね(´Д`)
卒業制作の自画像と同時に学校に提出したのがこの「裸体美人」!
おかげで、卒業制作の評価は芳しくなかったとかなんとか(でも後に重要文化財)
ヨーロッパのマティスの作風に感化されてこのような色面重視の画面を作ったとか!
さらに、キュビズムに感化されると…こんな大作も!
ピカソやブラックの作風を日本に移植しながら…でも人体のフォルムは日本的じゃないですか?!
ちなみに、この作品も国立近代美術館所蔵で重要文化財です。
…で、もろ「ゴッホでしょ」という絵もありました。
この辺で私も気づきました…萬鉄五郎という人は、その最新傾向の技法を最大限自分に取り入れて作品作りをしたんですね。
それでもどうしようもない「日本的」な要素がにじみ出る…。
人物画では下画像の「女の肖像(ボアの女)」のような作品がありました。
油彩のタッチは「ゴッホ」なのに、描かれている人物はどうしようもなく日本的なのです。
新潟県糸魚川出身のお笑いタレント横澤夏子に似てなくもないw
あと、全然知らなかったのですが…中国起源の「南画」にも手を染めていて、個人的には油絵より水溶性画材の方が適正あったんじゃないかと思うほどの作品が多かったように思います。
↓砂丘を描いた作品。曲線のリズム感がよいですね。
実際、水彩画は最初期からの作品が展示されていてなかなかのものでした。
これは最晩年に制作された水着を着用しながら、日傘を差す女性像です。
鉄五郎さんは女性に日傘を持たせるのがお好きだったようです。
全体を見た後に感じるのは…アメリカ留学を望みながらそれはかなわず…結果、欧米の美術の最新動向を見聞きしてそれに追いつき追い越せという現実の中で苦闘した画家の姿を見るのでした。
とにかく人物のフォルムがどれも胴長短足なんです。
それにしても、絵画のほかに手紙や掲載の雑誌、身の回りの品など「これでもか」というほどの内容でした。
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