日伊国交150周年記念という名目での展覧会は昨年あたりから色々開催されていました。

今回私が東京を訪れた2月中旬はクラシック絵画の展覧会は非常に少なく、たまたま東京都美術館でやっていた「ティツィアーノとヴェネツィア派展」くらいなものでした。
これが日伊国交150周年記念の冠がついていたわけです。
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昨年夏に国立新美術館で開催の 「アカデミア美術館所蔵~ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」と類似した展示かな?と思いましたが、これがなかなか。

正直、これは??という作品も多少ありましたが、当時のベネツィア派の流れを俯瞰するのにセレクトされたんだなと納得したわけで…。

そんな中でも、最初に「おお!」と思ったのが
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 ジョバンニ・ベリーニのテンペラ技法による聖母子。

マンテーニャの影響の残る作例ですね。


さて、最初に驚いたのがティツィアーノの初期(1510~1512年頃)とされる「復活のキリスト」
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背景などやや平板な描写かな?という印象ですが、自然な動きのあるキリストのポージングや柔らかな色彩など画面も大きく見どころ満載です。

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そして、展覧会のメインビジュアルに使われているウフィツィ美術館所蔵の「フローラ」
こういった女性像はバロックの例えばルーベンスあたりの画家にも影響しているわけです。

それにしても白い衣服のひだの描写など見事なものです。
見えそで見えない胸もこの時代のエロティシズム表現なのでしょうか。


そして、当時人気があったという「マグダラのマリア」
これはナポリのカポディモンテ美術館所蔵の作品です。
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もっとヌードに近い作例もあるそうですが、後期のこの作品はカトリックがプロテスタントに対して巻き返しを図ろうという時代に「行儀よく」着衣で描かれています。

細かくウェーブしている髪の毛、ストライプ柄の衣装などティツィアーノの技量がいかんなく発揮されています。


そしてまた、カポディモンテ美術館の「ダナエ」
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これはマグダラのマリアどころではなくヌードの女性像です。

神話画ですがかなりエロティックなシチュエーションで、昔の金持ちはこうした絵画を人知れず眺めていたのでしょう。
それにしてもこの絵は「よく描けている」と感じました。
しっかりした描写とゆったりした雰囲気のバランスが素晴らしい。

これらティツィアーノの作品を見れるだけでこの展示は価値があると言えるでしょう。


最後にヴェロネーゼの「聖家族と聖バルバラ、幼い洗礼者聖ヨハネ」
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キラキラした派手な描写がうまいヴェロネーゼの技が光る作例ですね。

ティントレットの作品もありましたが、筆の速さゆえに粗さも感じる作例が多く、あまり印象はよくなかったですね。

全体にベネツィア派に関心があれば必見という感じでしょうか。

2017年4月2日まで開催

展覧会公式サイト