六本木の国立新美術館で開催中のルノワール展を見てきました。
「みんな大好きルノワール」といっても良いくらいの存在ですよね。
行ったのは関東も梅雨明けして数日たった暑い日でした。
7/30は土曜日ということもあり、混雑が予想されました。
最近は混雑等予想されると美術館側もいろいろ手を打ってきます。
今回は館外でチケット販売していました。
おそらく地下鉄乃木坂駅降りたところでも売っていたでしょう。
10時開場なので、15分ほど前につきましたが、このチケット販売の行列を見ると混雑もそれほどではないのかな?と思いましたが…
…やはり並んでいました(;´Д`)
さて、展示そのものはパリのオルセー・オランジュリー両美術館から代表作が惜しげもなく出品されています。
もう画集に必ず載っている「あの作品」がぞろぞろありました。
「ムーランドラギャレットの舞踏会」1876年
人物がほぼ等身大で描かれた前期を代表する大作ですね。
影や暗い部分にはブルーを使っているため全体の印象は明るく軽やか。
黒の絵の具を極力排除すると意味では印象派的だが、モネのようなタッチの分割は見られず、そのものの固有色もある程度表現されています。
「ブランコ」1876年
パリ郊外でのレジャー風景です。
実はブランコというモチーフはルイ王朝時代のロココから連なる伝統的なものです。
この作品も上のムーランドラギャレット同様黒を排除した色使い。
ルノワールは女性を描くとどうも同じようなタイプになっていくようですね。
また、目(特に瞳)を大きめに描くことでかわいらしくなっています。
「ピアノを弾く少女たち」1892年
ルノワール「らしい」作品です。
油で薄めた絵の具を何層も重ねて得られる透明感が印象的で、パールのような輝きを感じます。
やはりそれぞれの固有色を大事にして、黒絵の具はほとんど使われていません。
「田舎の踊り」1883年
下の「都会の踊り」と対になる作品。
実物は人物が等身大で描かれた大きな絵
モデルはルノワールの妻だっけ?
「都会の踊り」1883年
ユトリロの母となるシュザンヌ・ヴァラドンをモデルにしているそうな。
この頃は古典主義的な志向でアウトラインをだいぶ重視して形態がかっちり表現されています。
「浴女たち」1918-1919年
最晩年の大作。
女性好きであったであろうルノワールの真骨頂、女体の触感まで再現しようとしたかのような絵肌。
ルーベンスを想起させるふくよかな女性が伝統とのつながりを感じさせる。
また、背景や濃色部分は絵の具を薄く、近くの白っぽいものほど絵の具を厚く盛る技法も伝統的な感覚です。
代表作の他にも面白い作品が並んでいました。
「猫と少年」1868年
最初期の作品で、布地の柄の処理が印象派的ですが、人体はかなりきっちり描かれてます。
「バナナ畑」1881年
バナナの木をびっしり描きこんだ珍しい作品です。
「クロード・モネ」1875年
印象派仲間であるモネの肖像画。
これも割と画集に乗っていますかね。
「ジュリー・マネ」1887年
エドゥアール・マネの弟とベルト・モリゾの娘の肖像。
顔がルノワール好みの丸顔になっています。
「舞踏会の装いをした若い女性」1879年
上のジュリーの母親であるベルト・モリゾの作品。
師匠であったマネの影響がうかがえるタッチです。
当時の風俗がうかがえる作品としての展示でした。
印象派の技法といえば「色彩分割」と言われ、様々な色を細かなタッチで並列させてちょっと離れて見たときにきらきらときらめく色彩に見えるわけですが、ルノワールはタッチは分割することが多いのですが赤いものには赤い絵の具、緑のものには緑の絵の具をのせることが多いです。
少年時代に陶器の絵付けをしていたそうで、油で薄く絵の具を溶いて重ねるのも陶器絵付けの感覚なんだろうと思います。
あと、女性の顔が肖像画以外、だいたい同じタイプに収れんしていくところがわかりやすいですね。
「かわいい女を描きたい」
「柔らかな身体を表現したい」
だから瞳を大きく描くし、透明感のある肌を表現するのに何度でも絵の具を重ねるし…(´∀`)
とにかく感覚的に分りやすいので、絵画鑑賞初心者でもかなり楽しめます。
でも、ちょっと色づかいや描かれた人の表情など見ていくといろいろ気づくこともあると思います。
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