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2022年8月31日鑑賞

前年夏に渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催された展示の巡回ですね。
2022年10月22日から神奈川県立近代美術館 葉山で最後の巡回展が始まるようです。

アートアジェンダによるBunkamuraの展示の紹介記事


現代美術の有名人、マン・レイ
小中高どの時か記憶は定かではありませんが、美術教科書に載っていた巨大な唇が空に浮かんでいる作品を憶えています。

ちょっと変わった名前だなぁ~と思っていたら、本名はエマニュエル・ラドニツキーと言いそこから何文字か取って短く「マン・レイ」にしたのだとか。
両親はユダヤ系で東欧からアメリカに移民してきたようです。

画像検索するとどんな作品を世に出した方なのかよく分かります


マルセル・デュシャンと知り合って既存の美術の枠を破壊しまくったダダの運動に加わります。
そのため初期においては絵画作品がいくつかありますが、オブジェや写真、映像作品など20世紀に現れた表現手法をほとんど使っているという印象です。

展示全体では9割以上が写真です。
経済的にも写真家として大成功していたとのことで、当時の空気感を反映したファッション写真や当時の有名人のポートレートなどが特に見どころだったと思います。

時代的にモノクロの写真ですが、露光の仕方で影の部分を白っぽくとばす「ソラリゼーション」の手法は、写真なのに非現実感があって今見ても非常に面白いですね。

基本、撮影禁止でしたが大きなポスター的な写真2点は撮影可能でした。
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優美な女性像です。
やはり20世紀、19世紀までとは異なる細身の美意識が反映していると感じました。
第一次世界大戦で男手が不足したことで社会進出した女性が、その手に入れたアクティブさから服装がシンプルになり、そのため身体のラインが見えるようになったのがその要因なのでしょう。

オブジェは…例えばアイロンの下面に鋲を一列につけてアイロンの使用用途を否定しちゃうようなものがありましたが、デュシャンの便器もそうなんですけど「思いついたもの勝ち」みたいな感じで個人的にはあまり好みではありませんね。

私自身、絵を描く人間として見た時、写真の構図感覚は参考になったように感じます。
モノクロ写真ですが、画面において明暗の構成は重要な要素なのだと再認識。

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