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新潟市、県立万代島美術館での岡本太郎の展示です。

「太陽の塔への道」と副題がつけられ、1970年開催の大阪万博でシンボルとされた太陽の塔についてその巨大な作品がいかに作られていったかが見られます。
なお、映像以外は撮影OKです( ゚д゚ )!

展示前半は太陽の塔以前の作品を通じて岡本太郎の造形の起源をたどっていきます。
早い時期の絵画ではキュビスムの影響が感じられます。
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「美女と野獣」1949年

やはりパリで会ったピカソの影響が大きかったのでしょうか。
何かのインタビューだったか、岡本太郎は「ピカソを超えてみようと思った」と話していて、その後はほかの誰とも似ていない独自の表現を開拓していったのは多くの方が知るところ。


その独自性はどこから来たのか?…という部分は写真作品を見るとわかるような気がします。
写真のコーナーでは、縄文土器や沖縄と東北土着の風俗を写したものがあり、その素朴な生命力がモチーフになっていたのでしょう。
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文明に背を向けタヒチに向かったゴーギャンと似通った感覚だったのでしょうか。
ピカソやモディリアーニもアフリカの仮面からインスピレーションを得たりと、近代文明や科学技術が発達すると素朴なものに意識が向くのでしょうか。


岡本太郎の作品にはたまにユーモラスなキャラクター的なものが現れます。
太陽の塔も顔の部分はキャラ的ですし、こんな作品も
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「駄々っ子」1951年

立体でも
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「若い夢」

…と、前段は全体の3割程度でメインの太陽の塔関連の展示になります。

大阪万博の話が決まった時、岡本太郎はいきなり南米へ旅立ち、旅先で構想を練ったといいます。

思いついたら即描いていったのでしょう。
ホテルの便せん(?)に描かれたスケッチ↓
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エントランスの屋根に穴をあけてそこから塔が顔を出すアイデアでしょうか。

さらに最終形に近いスケッチ↓
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塔の独特の曲線が現れています。
個人的に思うのはこの曲線の具合がミソで、見上げた時にちょっとのけぞるようで最上部のゴールドの顔ははるか遠くを見渡しているように感じます。
太陽の塔の原型を作る岡本太郎…原寸大(?)
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万博開催当時の写真
屋根から顔を出した太陽の塔の目から光のビームが( ゚д゚ )!
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そして太陽の塔関連の展示では、塔だけでなくその地下に展開された空間も含めての作品であったことがわかります(自分は全然知りませんでした)
地下部分は万博後埋められてしまい、現在では模型でしか見られませんが、そのスケール感を想像してみることはできます。

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地下の展示が箱型のジオラマとなって再現されていました。
テーマは命そのもの、人間の営み、祈り(呪術的な)といったものです。
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地下の展示も含めた太陽の塔の全貌を知ると、世界的にも例のない大規模なインスタレーションといってもよいのではないかと思います。
しかも地球上に単細胞生物が現れてから、現代の人間までの生命の進化を概観しようという壮大なテーマ!
地下展示では人間の精神性が生み出した「祈り」の要素もあり、月の石など科学技術分野が目玉となっていた展示に対して芸術として科学ではなかなか表現できない「生命力」を示していたのだと気づくのでした。

2018年に限定で再公開された太陽の塔内部の展示のその復元過程も展示されていました。
耐震強度の基準が厳しくなっていたため内側から補強したりとか、内部のツリーにつけられていた古代生物のオブジェの再現とか結構大変だったことがうかがえます。


最後に大阪万博、太陽の塔関連のグッズが展示されていました。
万博当時もの、近年太陽の塔をモチーフにしたものなどがあり、いまや太陽の塔は時を超えた存在になりつつあるのだと感じます。

万博開催当時のグッズ
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現代の太陽の塔グッズ
完全にキャラクターとして扱われています
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通して見終わると、ボリューム感としては重すぎない感じで1時間強で回れました。
岡本太郎の作風は自分の趣味と異なりますが、興味深いなぁと思いました。
昭和の歴史を垣間見る展示でもあります。

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岡本太郎の著書