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フランス語のアニメーション映画です。

7月にアポロ11号のドキュメンタリー映画を見に行った有楽町のヒューマントラストシネマで予告編を見て…「これは見なければ!」と思った次第。

予告編動画はYoutubeで見られます。


いやー!印象派からピカソまでの画家やドビュッシーら音楽家、女優のサラ・ベルナールとか…近代フランス美術好きにとってはオールスター大挙出演!なのです。

監督はミッシェル・オスロという人で、他の作品は全然見たことないのですが結論から言うととても良かった!

何が良いって、登場する有名人が半端なく多い!
画家、彫刻家、音楽家、作家、俳優、女優、歌手、学者にエッフェル塔を作ったエッフェル、しまいにはブラジル人飛行家サントス=デュモンまで登場します!すごい!

パンフレットの著名人紹介ページ(の一部)
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物語はフランス領ニューカレドニアから一人パリにやってきた少女ディリリが配達人の青年オレルと出会い、少女たちを誘拐する謎の組織から彼女たちを解放するまでの冒険です。

その過程で19世紀末から20世紀初頭までの有名人がゾロゾロ登場し、時にディリリたちを助けながらお話は進みます。

ディリリを主に援助するのがオペラ歌手のエマ・カルヴェ。
この方がまた常にエレガントさを持ち続け、最後救出に出発する時も作業服のような格好のディリリに「きちんとしなさい。皆を助けたらご家族に会うんですから。」と言いながらオシャレさせるのでした。
さらに彼女所有のボートは白鳥型、救出に使う飛行船はキラキラのイルミネーション付きと、とにかく美意識が徹底されています。


そして、物語冒頭でニューカレドニアでもパリでも皆と違うと言われて悩むディリリに対して、相棒のオレルの「君は人と違うから皆を惹きつけるんだ」というセリフがあり、これが映画全体を貫く価値観となっています。
現代の世界では、残念ながら自分たちと異なる人たちに対するテロ事件が発生していますが、この映画はそれに対して明らかなプロテストを表明しているのです。

また、悪役は”Male maître”(男性支配団と翻訳)で女性の社会的権利を全否定する反動的な組織です。
こうした存在を「悪」とする価値観がフランス的なのではないかと思いました。


絵的な表現に関しては、CGなのですが3D感は薄く平面的です。
動きはややヌメヌメ感はあるものの自然さはあり、モーションキャプチャーとか使ったのかな?と思わせます。

背景部分はパリの美しい景色が時に詳細な写真を使って再現されています。
さらに画家が登場するシーンでは美術館の協力を得て、作品の絵画が詳細に表現されていました。

普段私たちが目にするアニメ作品はほぼ日本かアメリカで作られたものですが、こうしたヨーロッパの作品もいいものですね。
オススメ!


ベル・エポックの時代が舞台なので「時間旅行」と日本タイトルにつけているようですが、原題は「ディリリ・ア・パリ(パリのディリリ)」です。
別に物語の中でタイムトリップするわけじゃないので原題のままでもいいような気もしますが、語感の座りがよかったのかな?

映画「ディリリとパリの時間旅行」WEBサイト


エンディング(フランス語)


エンディング+予告編(日本語吹き替え)


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