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↑ 展覧会のチラシ

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2月21日、新潟市美術館で「東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館収蔵 東郷青児展」を見てきました。

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チケットには「超現実派の散歩」(1929年)
この作品だけは、他から浮いているというか…毛色が変わっています。
私自身は東郷青児というより、古賀春江を連想してしまいました。

正直なことをいうと、東郷青児という画家はそれほど好きではありませんでした。
たまたま開催していたから見に行ったというところはあるかもしれません。

この展示は東郷青児の若い頃から晩年に至るまでの作品、デザインを手がけた製品、装丁を手掛けた本などが展示され点数はそれほど多くないかもしれませんが、その全体像を眺めることができます。

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「コントラバスを弾く」(1915年)

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「ラケット」(1925年)

初期作はキュビスム的というか未来派的というか…いかにもそれらに影響受けました…という作風ですが、その後色彩面も落ち着いてきて様式が定まってきます。

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「舞」(1938年)
女性のセミヌードですが、衣の表現など仏教美術の要素が盛り込まれているように見えます。


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四重奏(1955年)
東郷青児的な女性像の典型でしょうか。
実際に作品を見ると、印刷では真っ白に見える髪は実は刷毛目の凹凸でその流れが表現されています。


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「レダ」(1968年)
ギリシャ神話に出てくる、美貌のスパルタ王妃。
白鳥に化けたゼウスに言い寄られるけど、絵的には美女と白鳥と非常にキレイなので古来好まれたそうな。
繊細なグラデーションがスフマートみたいな技法で表現されています。
東郷の職人的な部分が存分に感じられました。

様式化された女性像が多数並ぶわけですが…油彩画というよりイラストレーション的な印象も受けます。
しばらく眺めていて…閃いたのは…カルロ・クリヴィエッリのフォルムだ!
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手のライン等…どうですかね?
カルロ・クリヴィエッリのWikipedia記事ページ

かと思えば…
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「砂漠の花」(1975年)
かなり大胆なフォルムのアレンジをやってみたりしてます。
この辺、ヨーロッパ留学時代の自由さをまだ失っていなかったのだと思います。


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「渇」(1953年)
アフリカ旅行から生まれた作品らしいですが、非常に印象的な一枚。

他の優美な女性像とは全く違う表現です。
また、他の作品は巧妙に筆の運びの痕跡を消し去っているのに、本作は生々しい筆の運びをそのまま画面にとどめています。


あと、これまたあまり期待していなかったコレクション展ですが…
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「美術の偶然!」と題してその名の通り偶発性を含んだ作品の特集です。
ドリッピングとかアクションペインティングとかあるんだろうな~と思っていたら…なんと地元の子供たちに抽選カードをひいてもらって、偶然にできた組合せで数点の作品を展示するコーナーがあったり…写真で偶然の映り込みを利用した作品、なぜか赤瀬川原平の「本物ゼロ円札」等の作品があったりして面白かったですね。

このコーナー内で、かつて新潟県内で活動していた前衛芸術集団GUN(ガン)の雪を使った作品展示がまた良かったですね。
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↑参考画像(2009年に東京で開催されたGUNの展示に関するパンフ)

雪上に様々な色の顔料を振りまいて、白一色に思われている雪のイメージを覆そうというインスタレーション(?)
今回の展示ではその過程で撮影された写真が何枚も見られました。

他にも雪に倒れ込んで出来た凹みを写真にとるとなぜか、雪の立体人物像に見えるというオモシロ作品も。

artscape 新潟県立近代美術館で開催「GUN 新潟に前衛があった頃」のレビュー記事


さて、最後に…なぜかミュージアムショップ(売店)では赤倉観光ホテルのグッズがたくさん並んでいました。
レトロ調の絵柄の手ぬぐいやスチール缶、スノードーム等々。
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お値段は有名作家の企画展の約半額の700円ということで、お値段以上に楽しめました。