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プラド美術館展~ベラスケスと絵画の栄光
国立西洋美術館で開催中です。

3月31日にブリューゲルとダブルヘッダーで見てきました。

さすが世界屈指の美術館、プラド!
先に見た個人コレクションを集めたブリューゲルと比べるとどれも画面がでかい!(笑)

今回のウリはベラスケスの作品が実に7点来日!
しかもそのほとんどが画集に必ず載る代表作!
美術史上私の敬愛する度トップクラスのベラスケス先生ですよ( ゚д゚ )

で…入ってすぐに早速ベラスケスですよ!

「ファン・マルティネス・モンタニェースの肖像」(1635年頃)
彫刻家の肖像ですが、手掛けている作品がどう見ても国王らしいのですが、それをこんなにサラりと描いてしまうあたりがベラスケスです。
Diego_Velázquez_-_Juan_Martinez_Montañés_-_WGA24398

会場を進むと、第二セクション「知識」テーマの展示で…
古代の哲学者を示した「メニッポス」(1638年頃)
Menipo_(Museo_del_Prado)
当時のスペインの街角にいそうなオヤジに見えますね。

次の第三セクション「神話」では
戦いの神を描いた「マルス」(1638年頃)
Velázquez_-_Dios_Marte
神というにはあまりにリラックスしたポーズですが、筆致までリラックスしています。
そして自在に描いたであろうことが、左脚のもも付け根の描き直し跡に見られます。

第四セクション「宮廷」ではとうとう国王の肖像!
「狩猟服姿のフェリペ4世」
Retrato_de_Felipe_IV_cazador
この作品も左半身の大胆な描き直し跡が見られます。
(鉄砲も短くなっています)
傍らの犬が「カワイイ」という声が聞こえたような(´∀`)

このセクションでは当時の宮廷にいた王族の引き立て役たる矮人を描いた作品もありました。

他の画家による作品もありましたが、ベラスケスが描くと慈しみのような雰囲気が醸し出されるように思いました。
「バリェーカスの少年」(1635~1645年)
el-nino-de-vallecas-diego-velazquez


第五セクション「風景」では純粋風景をほとんど描かなかったベラスケスなので、背景に雄大な景色のある王太子の肖像が展示されていました。
「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」(1635年頃)
Principe_baltasar_carlos_caballo_Velazquez_lou
本展覧会のメインビジュアルになっていますが、空気遠近法で青く描かれた山脈が非常に美しいです。


第七セクション「宗教」ではベラスケス初期作が!
「東方三博士の礼拝」(1619年)
La_adoración_de_los_Reyes_Magos,_1619,_Velázquez
初期作らしく非常に堅牢な描写でしっかり描かれています。

以上、ベラスケス作品合計7点でした!


他の画家の顔ぶれも「さすがプラド!」という面子です。
まずはベラスケスに勝るとも劣ることはないルーベンス!

「アンドロメダを救うペルセウス」(1639~1641年)
アンドロメダ_ペルセウス
ルーベンスの絶筆という解説がついていました。
確かにペルセウスの剣は描きかけのように見えます。

それにしても死の直前まで流麗な筆致は健在だったようです。


「聖アンナのいる聖家族」(1630年頃)
聖アンナにいる聖家族
幼児イエスのうねるような優雅さをもったポーズ、聖母の衣服の浮遊感すら感じる流麗な描写。


あと、何気にすごいのが…ティツィアーノ!
「音楽にくつろぐヴィーナス」(1550年頃)
Venus_and_organist_and_little_dog
ヌード表現についてその後数百年にわたって影響を与え続けた非常に重要な作品です。

ガチガチのカトリック国であった当時のスペインでは公式には女性ヌードなどとんでもないことで、王侯貴族は秘密の部屋にこうした輸入作品を展示していたらしいです。


この直前に見ていたブリューゲル展で紹介されていたヤン・ブリューゲル1世の作品も!
「花卉」(1615年)
特によく描けている作品ですね。
ヤン花弁


他にも、スルバラン、ムリーリョといった独立で画集の出る画家や、実力派のジュゼペ・リベーラ、ヴァン・ダイクらの作品もいくつもありました。

さすが、オープニングにスペイン政府関係者が出席したことはあります。
スペイン絵画の黄金期17世紀を、優れた作品で余すことなく表現した展示です。

プラド美術館展出品リスト


…で、物販ですが

ありました!スペインワイン!
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「旨安ワイン」だそうですw
売れ筋を押さえてるといったところでしょうか。
6本以上購入で無料配送するそうですよ( ゚д゚ )


このあと、常設展も見ました。
版画展示室ではプチ企画展「マーグ画廊と20世紀の画家たち」をやっていました。
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ボナールらナビ派の時代からミロやカンディンスキーの抽象絵画まで、主にリトグラフの版画の展示でした。

常設展での新収蔵作品がいくつかありましたが、目を引いたのは
印象派の女流画家ベルト・モリゾによる「黒いドレスの女性(観劇の前)」
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生き生きした筆致でよく描けている作品ですね。

国立西洋美術館は常設展も安心感があって好きです。
学生時代から幾度となく訪れていますが、当時から展示されているおなじみの作品などに再開するのもいいですね。
 
プラド美術館展は5月27日まで

本展覧会の解説本
予習してから見ればさらによくわかるでしょう