今でこそ「鬱」は精神疾患として社会問題化されていますが…昔は憂鬱気質はクリエイティブさにつながるという前向きな解釈も存在していました。
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↑アルブレヒト・デューラーによる銅版画「メランコリアⅠ」(1514年)
古代ギリシャから言われてきた四体液説(四種類の体液のバランスが四種類の人の気質を規定する)では黒胆汁気質は神経質・狂気の傾向があるが天才にもなりうるとのことでこれを「メランコリア」と呼ぶ。 日本語では「憂鬱」ですかね。
壁に彫られた魔法陣、多面体は数学的な調和を表現しているのでしょうか? これらは古代から数学的な教養とされるものですね。
デューラーの活躍したルネサンス期は芸術の表現に数学的な調和も重視されていたようです。 
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さて、デューラーから約300年後1799年にゴヤが発表した銅版画集「ロス・カプリーチョス」中「理性の眠りは怪物を生む」です。

メランコリアでは憂鬱ながら目を開いて真実を見ようとしている人物が描かれていましたが、ゴヤの作品では人物は眠ってしまい(理性は眠ってしまい)多数の魔物が湧いて出ています。
社会的にも激動の19世紀を前にして、狂気に陥った状況を表していると解釈すると実に現代的な作品と言えます。

そして21世紀の現代、科学技術は大変な進歩を遂げコミュニケーションも桁違いに濃密になり、あらゆる場面で理性が求められる一方で、狂気や憂鬱も激しくあらわれる時代になったといえるでしょう。

そこでご紹介したいのが、
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ご自身も鬱体験を通過した漫画家、田中圭一による「うつヌケ」

私は創作系SNSのnoteに掲載されたものを読んでいました。

私自身もストレスが強いと朝の寝起きの時の精神状態は最悪だったりしますが、そのような症例(?)も原因とともに描かれていたりして自分を客観視できたりします。


もう一冊は
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こちらも(単純に鬱だけではありませんが)鬱にまつわる体験談をインタビューで引き出している本です。

これら二冊とも多くはクリエイティブな活動をしている人たちの鬱体験であり、メランコリー気質は創造性に通じるという昔からの考え方を結果として肯定しているようです。

要するに鬱の問題も体験談など読んで「客観視」できれば楽になることもあるのではないかというお話でした。
最近私もダークサイドに落ちそうでもがいてます。

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