20160809_150040000_iOS

小林よしのり著の漫画

民主主義は病いであるという。

要するに…民主主義であればそれで良いというような単純な問題ではない、民主主義それだけありがたがっているのも間違いということです。

民主主義が民意をもとに物事を決定していくならば、独裁者も戦争も民意が望めば発生するという事実を古代ギリシャ以来の歴史から現代までの事例をもとに語っています。

もっとも著者は民主主義(もしくは民主制)を否定しているのではなく、アメリカ等西欧の民主主義を単純に移植してもダメだと主張しています。
それは「アラブの春」の民主化後の混乱を見ればわかるとも言っています。

では、どうすればよいのか?
日本においては古代から引き継がれてきた「公」の精神をもとに民主制を制度として運用すればいいという結論はなかなかの納得感です。

確かに日本という国がこれほど秩序だっているのは、現代において薄められたとはいえ「公」の精神が残っているからとも考えられます。


さて…この本を一通り読んで思うのは、日本において大きな政策や政権そのものの決定に民意を反映させるための制度が選挙ということになりますが、私はそこに起因する問題もあると感じています。

まず、選挙に勝った人間が本当に結果的に正しい政治的選択をするかという保証はありません。
第一次世界大戦後のひどい状況にあったドイツで、その状況を何とかできそうだと選ばれたのがヒトラーなのですが、結局もっとひどい結果になってしまいました。

ヒトラーとまではいかなくても、「この人本当に大丈夫か?」というような人が当選してしまう事例があります。
有名なところでは号泣県議とかね。
これは「おかしいな」と思った時点でちゃんと交代させる仕組みがあればいいのかもしれません。


もう一つ、政党や会派という括りが存在するのも状況をややこしくしています。
市町村レベルの選挙ではほぼ個人単位で考えて選べるでしょうが、都道府県や国政レベルになるとどうしても政党という組織が重要になってきます。
100万人、1000万人という単位の人達のいる括りで意思決定を行うにはどうしても政党などの集団でまとめていかないと収拾がつかないのはよくわかります。

ところが実際見ていると、一つの政党の中に結構考えの違う人が混在しています。
なぜかといえば、政治的活動を実行するためには政党の組織に入っていることが必要だからです。

ゆえに政治家個人を支持することと、政党を支持することとの間に、ズレを感じる人は多いのではないでしょうか。