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2016年4月27日、国立西洋美術館で開催のこの展示を見てきました。

美術史上では明暗の対比が強いバロック絵画のスタイルを初めて確立した画家という位置づけになっています。

36歳で早死したので、真筆は非常に少ないのに今回11点の作品が来日しました。

私も画集やネットの画像でしか見たことがなかったカラヴァッジョ作品が見られるというので割と期待してました。

まずは第一印象ですが、「基本的に絵が上手い」です。

この時代、静物画的な描写が流行りだして果物野菜を精緻に描く作品が増えたそうで、この展示でも一つのテーマになっていました。
上の画像「果物籠を持つ少年」では果物が実に美味そうに描かれています。
他の画家の作品ではこれほどみずみずしく美味そうには見えませんでしたね。

人物描写も形がしっかり捉えられていて、ゆがんだりぼやかしたりする部分は全くありません。

さて、そんなカラヴァッジョも初期はそれほど明暗対比がきつくなかったわけでその代表的な作品が冒頭にどどんと展示されています。
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「女占い師」1597年の作品だそうですが、かなり均一に光が当たり影はそれほどきつくありません。


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この「バッカス」も上の「女占い師」と同時期の作品です。

果物の質感、ガラスでできたワインの容器とグラスの表現など、描写力を誇示するかのような画面ですね。 
 

それが・・・1600年頃を境に一気に
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「エマオの晩餐」1606年
ここでは影ははっきり黒々として、背景も闇の空間になっています。
さっきまで昼の光だったのに、いきなり夜になったかのようです。

もうひとつ
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「エッケ・ホモ(この人を見よ)」1606年

やはり黒の使い方が印象的です。
非常に自然な描写も特徴的で、顔のしわも深く刻まれたように見えますね。

でも、フォロワーであるホセ(ジュゼペ)・デ・リベーラやジョルジョ・ド・ラ・トゥールがかなりしつこくしわを描きこむのに対して、カラヴァッジョはそれほどではないんですね。
老人もどこかしら上品に仕上げてる感じです。


そして、今回のある意味主役級の作品が
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「法悦のマグダラのマリア」1606年
個人コレクションに入っていたもので、カラヴァッジョの真筆と認められ今回が「世界初公開」ですよ!
 
線描による下書きの痕跡がなくいきなり油彩で描きはじめたらしいとか技法的にも特徴があるそうです。

ちょっと他の作品とは雰囲気が違うようにも見えますが、彼が死んだときの所持品にあったらしいとか、何か特別な感情が込められた絵なのかな?とは思いますね。 


総じて「明暗の対比を史上初めて本格的に導入した」というのも分かるんですが、私個人的には非常に自然な描写が特徴であり、その辺は数十年後のベラスケスあたりに引き継がれているように感じました。

自然主義的描写という意味では19世紀の傾向の超先取りと言えなくもないかなと思いました。

なかなか良かった展示です。おススメ。