20年以上前スキー業界が景気の良い時代、東京神田のスポーツ街のお店には大勢のお客さんが押し寄せた。
それはそれはすごい数で、JR御茶ノ水駅のホームには透明なビニールカバーのかかったスキー板を持った人があふれていたものだ。

こうなると、店頭でそのお店の従業員だけでは十分な接客ができなくなる。
そこで、メーカーの人間が店頭に立って接客をする「販売応援」が行われていた。
hannbai

かつてウエアメーカーP社は、店の営業担当はもちろん企画部門、生産部門、時期によっては管理部門の人間までが参加していた。
皆、メーカーの人間でそういったウエアが好きだから入社した人間が多く、商品知識はかなりあってお店でも割と重宝されたと思う。
私は入社当初はウエアの縫製仕様の担当だったので、文字通り裏側まで熟知していたから無駄に細かい説明もできた。
他社の売れ筋商品も研究のためによ~く見ていたから作り方の違いもわかる。…が、そこまでの情報は接客に大して役には立たないw
まあ、それでも下手なバイトさんよりはたくさん売ったと思う。

こういったときに大事なのは、まず在庫状況の把握。
どのデザイン、どのカラー、どのサイズがあるか、欠けているかを大体頭に入れておかないと、ないものをおススメするなんていう失態につながるのだ。

そして、お客さんをよく見て、どういう志向を持っているのか判断する。
スキーと言っても、上級から初級と技術レベルで選ぶものが変わるし、アルペン競技っぽいのがいいのか、基礎スキーっぽいものがいいのか、それともフリースタイルイメージがいいのかで選ぶものが変わってくる。
(どうでもいいから安いものというケースもある)

家族連れの多いお店では、まず子供のウエアから入る。
景気の良い時代はグローブとソックスは必ず2セットづつ買うということもあった。
次にママのウエア。
それでも予算があればパパのウエアという感じであった。

そもそも、今日買う気があるのか?という判断も必要だった。
買う気もない人に時間を費やすより、今日買おうと思っている人にアプローチした方が良いに決まっている。
よ~く観察していると、店頭に並んでいるウエアに手を伸ばす人と、なんとなく眺めている人に分かれる。
もちろん手を伸ばし、ウエアに触れる人の方が購入確率は高い。
さらに、どの商品に興味を持っているかで、その人がどんな滑りの志向なのかも見えてくることが多い。

ただ、あまりに売り込み感を前面に出していくといやらしいので、雑談も適度に入れる。
どこのスキー場に誰と行くのかとか、ゲレンデの雪質など地方によって異なるので、そうした情報も頭に入れておくと話が広がる。
特に男性に対しては道具の話までできると盛り上がったりできる。

こういった販売の現場で、それぞれのウエアが企画意図した人にその通り売れているのか実地に検証することもできたのだ。